動物病院併用 完成後の様子

HOME > 動物病院併用 完成後の様子

動物病院併用住宅 竣工写真

設計のポイント

敷地は、緑豊かな神社の参道からほど近く、周りには緑が多い立地です。反面、交通量の多い幹線道路の交差点に位置しており、動物病院を営むクライアントにとって、事業を行うには「良い立地」ですが、住宅を計画するには決して「良い立地」とは言えませんでした。

計画のポイントは4つです。
A、交通振動と騒音に配慮した構造・構成とする。
B、周りの緑を十分楽しめるようにする。
C、周りの住宅街に配慮し、動物病院から発生する音(犬などの鳴声)や臭いに対して十分な対策をする。
D、地域の競合医院に負けない医療環境の整備

交通量が多く、外部からの振動や騒音を防ぐため、鉄筋コンクリート造をとりいれる事を当初計画しておりましたが、地盤が緩く杭工事に膨大なコストがかかるため、あえて鉄骨造を採用しました。
基礎を通常より強固につくる事で、安全性を実現しつつ、振動対策に掛かる建築コストを極力抑えました。

また動物病院併用住宅として、内部から発生する振動・騒音の対策は必須です。地盤から伝わる振動を極力軽減するために、杭に余分なコストが掛からない程度まで基礎を大きくさせました。また、「音」の侵入と外部へのもれを防ぐために、2階以上は極力“閉じる”設計になっています。

クライアントとの出会い

某日、一級建築士の知り合いに「会って貰いたい人がいる」と誘われ、獣医師である弟さんを紹介されました。
後日、弟さん家族と病院スタッフの集まるバーベキューに誘われ、その場で「動物病院の設計をやってくれる人だ」と皆に紹介される 突然の展開となり設計依頼を受ける運びとなりました。

クライアント・インタビュー

岡松建築設計事務所へ依頼されていかがでしたか?
・ 120%良かったと思っている。
   「開業期限」「予算」など厳しい制約の中で、僕らや工務店との「打合せの手配・進行」を的確に行い、
   また逐一「工事現場のチェック」をしっかり行う事で、無駄なロスを極力排除してくれた。
   その結果、一番重要だった目標の「開業期限」「予算費用」が実現出来て本当に感謝している。
   また竣工後、現場の記録写真を見せてもらったが、仕上げで見えなくなるところもしっかりとケアしてくれて
   いたので非常に感心した。

・「できません」と云わない生真面目な建築家だと思う。施主の意見やアイデアを初めから否定しないので、
  先ずは、こちらのどんな要望も躊躇することなく伝えることができた。
岡松建築設計事務所にご依頼された決め手は?
・兄に「信頼できる一級建築士」として紹介されたのが出会いのきっかけ。

・一級建築士同士で信頼関係が築けているところに安心して打合せを開始しましたが、最終的に契約まで
    至った理由は、仕事がスピーディーなところ、代替案にもただ建築家のエゴによる提案ではなく、要望が
    反映されている案を必ず提示してくれたから。
こだわったポイントは?また、実際に完成してみてどうですか?
・緑豊かな環境だったので最大限に“緑”を享受できるような建物にしたかった。

・将来を見越して、他の病院よりも数・質ともに良い設備を導入した(部屋数、面積も同様)。
 (1Fに診察室が 2室、処置室が1室、2Fに処置室が1室、OPE室が1室(処置室は実質OPE室としても
 使用可能な設備を有する)、CT室、入院室・隔離室を3室 など)

・圧迫感のない部屋にするために天井の高さにこだわった。これは医療行為のし易さにつながっている。

・内・外側の音(騒音)をシャットアウトした事。内側の音とは、入院中や診察に訪れた犬や猫の鳴声で近隣
 の迷惑にならないようにする対策。外側の音とは、幹線道路が前面に通っておりその騒音で院内や居住空
 間が害されないようにする対策。また、隣接する球戯場(大宮アルディージャのホームグランド)の歓声で
 動物たちが脅えないように。

・内部からの臭気を外に出さないことと、待合室に臭気を残さないこと。

・普段動物が滞在・出入する場所には、腰壁を設け引っかき傷がつかないようにした。また、尿を掛けられて
  も直ぐに拭けるような素材を採用してもらった。また、床も尿が直ぐ拭き取れ、小動物が滑らず、傷にも強
  い素材を選択。

・今年初めて(竣工4年後)エアコン業者に掃除を頼んだくらいで、室内は、普段の掃除のみで臭気も残ら
  ずメンテナンスが容易。
お気に入りのスポットがあれば教えてください。
(住宅部分)
・3階の北東側テラス。家族や兄弟家族が集まってバーべキューができるほど広く、キッチンとも隣接して
  おり、何かと便利。愛犬の大型犬(ラブラドール)もここのテラスで飼っている。

・3階のキッチン、ダイニング、リビング、サンルームは、南北に視線が抜けておりすごく開放感がある。何処
  からでも空と緑を楽しむことができるところ。

(病院部分)
・2階の北東側テラス(3階のバーベキュースペースの下)。この部分は、病院主催のバーベキューに使用し
 ている。また、祠を設置し亡くなった患者さんの供養も行っている。ご家族の方もお参りができればと考えた
 スペース。

・患者さんは階段下の椅子がお気に入りのようです。緑もあり、本もあり、看護師ともコミュニケーションが
 とり易い。

・緑地に面して、外部にも待合用のベンチを設けているので、大型犬の方やタバコを吸う方も気兼ねなく来院
 できる。それ以外に、病院入口脇にもベンチと水のみ場を用意しているのでずっと室内で順番を待つよりは
 こちらの方が良いという方もいるので非常に重宝しているスペース。

・収納の多さ。こざっぱりしているのが好きなので、診察室や処置室がすっきりするのは気持ちがよい。
実際に住まわれてみて、こうすれば良かったと思う場所はありますか?
・ 電子カルテの普及がこんなに早くなることを想定しておかなかったので、LANなどの電気的な設備をもっ
  と充実させておけばよかった。

・ ハード面(建築本体)に関しては、想定したことが全て満たされており今のところは何も問題はない。

・ これから建てるなら、医局をもう少し充実させていればよかったかなと思うが、全て想定内なので不満は
   ない。(看護士が増え、男女それぞれいるので更衣の時などは気を使うけど現在の状態で解決できない
   問題ではない。)

・ 太陽光発電を最初から組み込んでいても良かったかな。


動物病院併用住宅

ブログ

RSS表示パーツ
Copyright(C) 併用住宅の設計. All rights reserved.